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2020-01-24:

人類にとってもっとも重要な「課題」は..... || イーロンマスク

【全文】
若い頃は将来何をするかなかなか決められませんでしたが、新しいものを作り出すことはかっこいいなと思っていました。

そう思うようになったのは、アーサークラークの「飛びぬけて高度な技術は魔法と区別がつかない」という言葉を知ったのがきっかけです。

その通りだと思います。今は当然のことでも300年前なら異端だとして火あぶりの刑になっていたこともあります。

空を飛ぶなんてすごいことですよね。

遠く離れた場所にいる人と話ができたり、どこにいても世界中の情報に瞬時にアクセスすることも可能です。昔の人なら魔法だと思ったでしょう。
昔なら想像すらできなかったことばかりなので、魔法以上だといえますね。

もし自分が技術を進歩させることができたら、魔法みたいでかっこいいと思ったんです。私は実存的危機の傾向があり、いつも物事の意味や目的を考えていました。

その結果一つの答えにたどりつきました。世界の知識をさらに進化させ、我々の意識の領域を広げることができれば、正しい仮説が立てられるようになり、人々はより賢明になることができます。

それが進歩への唯一の道です。

私は物理学とビジネス学を学ぶことにしました。

なにかを実現するには、世界がどのように動いているのか経済がどう機能しているかを知る必要があります。

それに何かをするには人を集めてチームをつくらなければなりません。高度なテクノロジーにたった一人で挑むのは厳しいですから。

それから電気自動車のエネルギー密度の改良について学ぶためにカリフォルニアへ引っ越しました。

バッテリーの代替品となるより優れたコンデンサはないのかと、それが95年のことでちょうどその頃インターネットが登場しました。

インターネットに関するビジネスはいくつかやりました。
そのひとつがPayPalです。

PayPalがスタートした頃は大変でした。

当初PayPalは財務サービスを統合したようなものを想定していました。あらゆる財務サービスが集約されスムーズに処理ができるようなものです。

その一つにEメールを使った支払いサービスがありました。だれかにサービスを説明するとき、サービスの複雑で難しい部分ばかり見せていたので誰も興味を示しませんでした。

そこでメール支払いのサービスを見せたところわかりやすいのでみんなが興味を示しました。フィードバックはとても大切です。クローズドループの考え方です。

それからはメール支払いのサービスに注力にサービスを軌道に乗せることができました。彼らの反応を無視していたらPayPalは成功しなかったでしょう。

フィードバックに耳を傾けて思い込みを修正することです。

PayPalの次に考えたのは、人類の未来に影響を与えるもっとも重要な課題は何かということでした。どんなビジネスが一番収益をあげるかということではありません。

それが悪いとはいいませんが、私が考えていたのは何が人類にとって一番大切かということです。

一番大きな課題は、持続可能なエネルギーの問題です。エネルギー問題を解決しなければ私達はトラブルに直面するでしょう。もう一つのテーマは他の惑星で人類が生き延びることです。

そうした考えがSpaceXやTesla、SolarCityのベースになっています。人類が宇宙旅行をしたりほかの惑星で暮らせるようになるには、まだまだ解決しなければならないことがたくさんあります。

これはとても重要なことなので、皆さんがSpaceXで働いてくれたら嬉しいです。意識を拡張させることは人類にとってもっとも重要なことの一つですから。

地球の歴史は40億年以上ですが、人類の歴史が記憶として残っているのはせいぜい1万年くらいです。

我々は地球上ではとてもちっぽけな存在ですが、私は人類の未来については楽観的です。人類が滅びると思っている人間だと勘違いされたくありません。

地球はしばらくの間は安泰でしょう。保証はできませんが、大体のことは問題ないでしょう。

99%大丈夫だという保証があっても残りの1%のために努力をしてみる価値はあります。

余分な惑星があってもいいですよね。これはとれも重要なことだと思います。そのためには継続的に機能する火星への高速輸送システムが必要です。

それが火星移住できるかどうかの鍵となるでしょう。それこそ私達がSpaceXで取り組んでいることです。

Teslaで実現しようとしているのは電気自動車の価値を示すことです。

電気自動車に間違ったイメージを持つ人が多いので、それを払拭しないといけません。電気自動車は遅くて見た目もかっこ悪く長い距離を走れないゴルフカートみたいなイメージがありました。

だからTeslaは速くてかっこよくて長距離も走れる電気自動車を開発したのです。つくりたいものを神に書くのは簡単ですし計算を見せることもできるでしょう。

でも実際に動くものを見せなければ人を納得させることはできません。

会社を作ったらまずは実際に動くプロトタイプを用意することです。

パワーポイントではどんなに素晴らしく見えるでしょう。

パワーポイントでならどんなものも作れます。

でもどんなに簡単なものでも実際に動くものの方が人々を納得させることができます。

Teslaロードスターを開発したとき、もうすぐ4ドアセダンタイプが出ますが、Teslaロードスターをつくったときはこんな反応ばかりでした

「ああ、高価で狭くて乗りにくい車だろ?」「実際に乗るための車はつくれないのか?」「わかったそういう車もつくるよ」ということでもうすぐ発売されます。

私の話から何かを感じてもらえればいいなと思います。

みなさんは21世紀のマジシャンです。

なにもためらうことはありません。

みなさんの手で魔法を作り出してください。

藤原和博氏セミナー「親は子供に何を残せるのか」 藤原和博氏セミナー「親は子供に何を残せるのか」